保育園ICT化 期待度は高いが課題も多く・・・現場の本音とは?

作成日 2017/07/10 更新日 2017/07/10保育園支援ナビ編集部保育園支援ナビ編集部 

保育園の経営者の方々にとって、保育の現場の業務改善・効率化はできることならば一刻も早く進めていきたい課題ではないでしょうか。厚生労働省から発表された「保育所等におけるICT化の推進」とそれに伴う補助金の給付を受けて、ICTシステムを自分の園にも導入したいとお考えの園経営者の方もいらっしゃることでしょう。

「導入はしてみたいけど本当に改善されるのか?」「使えたらどんなに業務がラクになるだろう・・・」「実際のところを知りたい!」・・・そんな迷いと期待の混ざった方々のために、ICTシステムを実際に導入されている保育園と未導入の保育園の双方を対象にアンケート調査を行いました。


導入園の結果

 

実際にICTシステムを導入している保育園に、ICTシステムの導入は業務簡略化、負担軽減に役立っていると思うかどうか聞いてみました。

 

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 結果は、「役立っている」が22%、「役立っていない」が30%、「どちらとも言えない」が48%となりました。「役立っている」よりも「役立っていない」が上回るとは・・・いったいどんな点がネックになっているのでしょうか。

 

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※こちらの結果は複数回答可のものです。

 

集計結果を見てみると、保育の現場で働く方々にとって「気づいたときや手が空いた時間に作業がしにくい(78%)」ということが一番ネックになっていることがわかりました。「PCやタブレットでの入力に慣れないため時間がかかる(72%)」がそれに次ぐ問題点となり、3番目に多かった意見としては「閲覧・入力可能なPCなどの端末が少ない(67%)」となりました。 

このような課題を感じている現場の方々の声を以下に紹介しましょう。

 

結局pcやUSBの持ち帰りがNGなので、園内でやろうとしても園児が起きたりすると手が止まり進まず…なら、手書きでウチでやると言った具合で意味がない。(保育士/パート・アルバイト・派遣/女性/35~39歳)

とにかく接続が悪く、次の作業に移るまでに時間がかかります。また、入力したものがすべて消えてしまうなどという不具合も多いです。そして、担任4人で1つのタブレットを使用している為、それぞれが利用する時間が短く個人の仕事が進みません。(保育士/正規職員/女性/ 20~24歳)

全く有効活用されていないのが現状なので、事務職員がシステムがどんな風に活用できるのか学んでもらえば、事務の簡素化につながるのに、宝の持ち腐れのような感じがしています。(保育士/正規職員/女性/45~49歳)

 

一方で、ICTシステムを導入したことによって業務が改善した、効率化したという声ももちろんあります。現場の方々は、どんな点が役立っていると感じているのでしょうか。

先ほどの質問に対して、「役立っている」と回答されたところにご意見をうかがったところ、以下のような結果になりました。

 

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※こちらの結果は複数回答可のものです。

 

なんと「手書きでの書類作成が減ること」に関しては92%の方々が役立っていると感じているようです!書類作成に次いでポイントが高かったのは「保育士同士の情報共有が簡単にできること(62%)」。その次が「情報管理のフォーマットが一律になり見やすいこと(54%)」です。アナログなやり方が主流の保育園業界において、それだけ事務作業が負担となっていること。そしてデジタル化されることで事務作業の負担が軽減される部分も多いようです。 

また、現場の方々が最も役立つと感じる機能について聞くと以下のような結果になりました。

 

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 1位の「保育日誌・指導計画の管理(31%)」は、ひとつ前の質問でも回答1位となった「手書きでの書類作成が減ること」とつながりが見えてきますね。次に多かったのは「登降園管理(23%)」。「おたより作成/メール配信(15%)」がその後に続きました。 

現場の方々の喜びの声も見てみましょう。

 

導入前からExcel、Wordを使い文章等を作っていました。しかし、それぞれが全く連動していなかったため、園児の名前や住所などの単純な入力内容であっても同じことを何度もそれぞれの職員が一つ一つの文章に打たないといけなかったのがICT化により、一つのことが他のところにも連動していくので、時間の省略化になりました。(保育園経営者・園長/女性/55~59歳)

手書きでの書類は苦手なので、助かっている。転職先もそういう園を選びたい。(保育士/正規職員/女性)

今まで家でやっていた保育日誌を園で打ちこむので、持ち帰り仕事が無くなりました。(保育士/正規職員/女性/30~34歳)

 

現場の作業としての負担として大きかった「手書き」や入力の反復作業などが、システムを導入したことによって改善されたようです。

 

未導入園の結果


ICTシステム未導入園は、システムの導入に関してどのような点に期待しているのでしょうか。

 

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※こちらの結果は複数回答可のものです。

 

1位は「手書きでの書類作成が減ること(87%)」。ここでもやはり「手書きでの書類作成」というワードが上位にきていますね。次いで「紙媒体の管理が少なくなること」と「保育士同士の情報共有が簡単にできること」が77%と同率でした。また、「情報管理のフォーマットが一律になり見やすいこと」と「計算業務が自動でできること」も同率61%と、高い期待が寄せられていることがわかります。ICTシステムに寄せる期待の声として、以下の意見も見られました。

 

事務作業の時間短縮。(保育士/正規職員/男性/25~29歳)

古い体質が改善されていくこと。(現在は働いていない元保育士/女性/30~34歳)

園に残す記録などがキレイに簡単にすすめられるといいと思う。(保育士正規職員/女性/35~39歳)


一方で、ICTシステムの導入に関して不安を抱く方々もいらっしゃいます。

 

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※こちらの結果は複数回答可のものです。

 

アナログなやり方が主流の保育園業界においては、ITスキルに自信のない方もいらっしゃいます。そうした懸念要素が「ICTシステム導入に際して十分な研修やレクチャーがあるか不安(64%)」という結果につながっているようです。次いで不安の声が多かったのは「初期設定等導入の際の付帯業務が大変(57%)」。それから「閲覧・入力可能なPCなどの端末が少ない」、「システムに関する問い合わせ対応が不安」が同率で50%という結果になりました。

 

ICTシステムを使いこなすためにどのような解決策が考えられるか


せっかく園の業務改善、効率化に役立てようとICTを導入したのに、その利便性を感じられないのはとてももったいないことです。そこで、どのような点が改善されればICTシステムを駆使できるか、導入園と未導入園それぞれにうかがってみたところ、以下のような意見がありました。

 

今後どのような改善があれば、さらなる保育士の業務効率化につながると思いますか?


導入園の意見

 

保育士一人ひとりにPCを貸与する。(保育士/正規職員/女性/20~24歳)

システムを使いこなせていない職員がいるため、せっかくのシステムが有効活用されていない。新しく雇用された職員には使い方の指導をしたり、連動できる事を増やせば効率化できると思う。(保育士/正規職員/女性/45~49歳)

人員配置。事務作業、製作準備をする間にも代理の保育士を配置。空き時間のみでやるのは不可能。(現在は働いていない元保育士/女性 /35~39歳)

作業時間を設けたり、残業手当等を付ける。(保育士/パート・アルバイト・派遣/女性/30~34歳) 

 

印象的だったのは、保育士ひとりひとりが使えるようにPCを増設するという意見が、半数以上を占めていたことです。まずは環境面から改善していくことが急ピッチで求められるのではないでしょうか。

 

未導入園の意見

 

まず、パソコンやタブレットの勉強をさせて欲しい。昔は、手書き。復職したらいきなりパソコン。学生時代は、まだパソコンも主流ではなかった。今、パソコンを使ってお便りを書くことが精一杯。研修など設けてくれないと、業務軽減どころか使い方がわからなければ負担にしかならない。(保育士/正規職員/女性/40~44歳)

入力が単純でわかりやすいもの。(保育士/正規職員/女性/45~49歳)

初期投資が安く済む事。(現在は働いていない元保育士/女性/40~44歳)

 

一方の未導入園からは、研修や勉強会など、ICTシステムの仕様に関するレクチャーの必要性を訴える声が半数以上ありました。前述にもあるように未導入園がICTシステムの導入について不安を感じている要素で「ICTシステム導入に際して十分な研修やレクチャーがあるか不安」が最も高かったことから、やはりこの部分に対する懸念は大きいようです。

 

各機能に特化したサービス


保育用ICTシステムの特徴として、一般的に保育日誌や指導計画、事務書類などの書類の作成を効率化する機能、登降園に関する機能、写真の販売、出欠連絡などの機能の搭載が挙げられます。

ここでは、各機能に特化したICTシステムの一例をご紹介しましょう。

 

書類関係の効率化

<CoDMON>

CoDMONは株式会社スパインラボが提供するシステムです。

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CoDMONでは、Excelベースのものであれば園ごとのフォーマットをシステムにアップロードすることで、指導計画や月案や週案、日案の作成が可能になります。年齢別や月齢別の文例集も用いることができるので、保育士がから文章を考える時間が省けます。更に、音声入力機能まで搭載しているため、タイピングが苦手な方は音声入力を使って記録ができます。

 

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更に、園児の登降園記録をもとに延長料金の自動計算や請求書の自動発行までできてしまいます!それから、CoDMONの作りはシンプルでとても分かりやすいのが魅力です。アイコンを見ればひと目で何の機能が使えるのか分かるような仕様となっているため、使いやすさに定評があります。保育士業務の中でもかなり負担の大きい書類関係の業務が効率化すれば、その分園児と向き合える時間も増えますし、何より持ち帰りの残業も減ることにもつながりますね。

 

CoDMONについて詳しく知りたい方はこちらの記事もあわせてご覧ください。

●CoDMONの導入で保育士の負担の軽減とコスト削減が可能に!

●【CoDMON】シンプルな使い勝手で業務を効率化(コドモン取材記事)

 

登降園管理

<kids plus>

kids plusは株式会社APProgが提供しています。

kids plusには「kids+work」、「kids+clock」、「kids+family」の3つの機能がついており、「kids+work」は事務や管理業務に特化した施設管理者用の機能です。

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「kids+clock」は、カメレオンコードと呼ばれるバーコードをiPadにかざすだけで園児の登降園が管理できる機能です。最後の「kids+family」は園児の出欠連絡や身体測定が見られたり、年間行事をチェックできる保護者向けの機能となっています。

kids plusの最大の魅力は、カメレオンコードという園児ひとりひとりによって配色のパターンが異なるカラーバーコードを使って登降園の管理ができる点でしょう。カメレオンコードが印刷された紙を端末にかざすだけで、自動的に登降園の時刻がデジタル打刻されます。

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カメレオンコードはこのように紙に印刷して持ち歩くことが可能ですので、かかるコストは印刷代のみ。万が一紛失しても再発行に大幅なコストがかかることもありません。登園、降園の記録は職員の管理画面にあたるkids+workと連携しています。また、カメレオンコードは複数のコードを遠距離で同時に読み取れるので、兄弟がいる場合でも遠距離から同時に複数認識できます。園児の登降園を手書きで行っていた方々は、一気に業務の負担が減りますね。

 

kids plusについて詳しく知りたい方はこちらの記事もあわせてご覧ください。

●保育園とママに優しい業務支援システム「kids plus」

●【kids plus】カメレオンコードでラクにおトクに登降園(kids plus取材記事)

 

写真の販売

<フォトパーク>

フォトパークは、株式会社ハッピースマイルが提供する写真販売に特化したシステムです。

フォトパークは、保育園で撮影した写真を写真販売サイトにアップロードするだけで、写真の販売ができるシステムです。掲示や注文の受付、代金の回収、写真の送付は全て提供元の会社が行います。また特筆すべきは、写真の販売価格を保育園側が自由に決められることです!このシステムを利用して、写真販売を保育園側の収益にすることも可能となっています。ちなみに写真の販売価格は、以下の式で設定できます。

(販売価格 – プリント価格)x 販売枚数 = お振込み金額

例えば税抜き46円のLサイズ版を1枚60円で1000枚販売するとなると、

(60円-46円)×1,000枚=14,000円

つまり、保育園側は14,000円の収益を得ることができるのです。ちなみにサイトにアップロードできる写真の枚数に上限はありませんので、何千枚でもアップロードできます。掲示、注文受付、集金、写真の配布と実は工数の多い写真販売の業務をなんとかしたい方に嬉しいシステムです。

 

フォトパークについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

●販売価格は自由!「フォトパーク」で写真販売の手間を削減

 

出欠連絡

<ママれんメール>

株式会社ビズウィンドが提供しているシステムがママれんメールです。

園児の出欠連絡をオンラインで一括管理できるのがママれんメールの特徴といえます。欠席、遅刻、お迎え時刻の申請や、保育園の連絡事項などの通知をPC、スマホ、携帯電話を使って行います。保護者の欠席の連絡はスマホや携帯電話からボタンひとつで完了。職員による園児の出欠や遅刻の確認や管理も、PC内で一元管理できます。また、園からのお知らせをメールで一斉配信することも可能です。メールの開封、未開封も分かる機能があるため伝達漏れにも対応できます。掲示板機能やコメントの投稿機能を使って保護者からの質問にもオンライン上で回答できるなど、保育士にとっても保護者にとってもメリットとなる機能が搭載されています。

このママれんメールを使うことで、朝の電話連絡で混線して電話がつながらない、他の業務をしている最中に電話がたくさんかかってきててんてこ舞いになってしまう、スタッフ同士の伝達漏れが生じる、電話応対にコストがかかるなどの問題が解決できます。朝の忙しい時間帯にバタバタと舞い込んでくる出欠連絡をどうにかしたい園経営者の方はママれんメールの導入を検討してみては?

 

ママれんメールについて詳しく知りたい方はこちらの記事もあわせてご覧ください。

●連絡を一元化!ママれん!メール導入のメリットと費用まとめ

 

まとめ


保育士の業務負担を軽減し、保育士がよりよい保育、よりよい関係性を子どもたちと築き上げられるように。残業時間を減らすことによって、保育士自身のライフワークバランスが実現できるように。保育用ICTシステムとは本来、そのために生まれたものです。保育園支援ナビ編集部では、ICTシステムを日夜一所懸命開発している企業を取材し、少しでも保育士の業務負担が減るように何ができるか、その思いもたくさん聞いてきました。システムが活用できない、役に立っているとは感じられない状況があるという現実は、とても悲しいことではないでしょうか。

ICTシステムの補助制度はまだ開始したばかりで、国や自治体、ICTシステムを開発している企業の中でも、何が課題となっているのか把握しきれていない現状はあるでしょう。今回の調査ではICTシステムの導入・未導入にまつわる現状の課題点が浮き彫りになったと同時に、今後どうすればその課題を解決できるか?また、現場の人が何を求めているのかがおわかりになったかと思います。

現場で働く保育士が、導入したICTシステムを100%活用できるようになる。そんな未来が来ることを信じています。

 
保育のお仕事レポートでも、同アンケート結果を元に保育士さん向けの記事を公開中です。保育の現場におけるICT化への期待、現状、今後の課題をまとめておりますので是非ご覧ください。
https://hoiku-shigoto.com/report/news/ict-at-nursery/


【アンケート実施概要】

・実施期間:2017年6月9日~6月20日

・実施対象:

 保育士/正規職員(64%)・保育士/パート・アルバイト(22%)・保育園経営者・園長(6%)・元保育士(8%)

・回答者数:104人

(導入園にお勤めの方:60名/未導入園にお勤めの方:44名)

・平均年齢:34歳)

・男女割合:女性/93%・男性/7%

 

※ご協力いただきました皆さま、貴重なご意見をありがとうございました!

※いただいた回答は一部抜粋し、個人が特定できないようご紹介しております。

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株式会社ウェルクスが運営する保育園支援ナビの編集部です。保育園や幼稚園に役立つ情報、取材記事を発信していきます。 https://hoiku-service.jp